No.002_21[Songs for MANA]
――エナ=クロスアウダ―セルシャ間
白き大地には、二つの影がある。
一つは背の高い男性。腰には木刀、そのほかに食料やテントなどの必要な荷物を木刀があるのとは反対側の肩に背負っている。
その隣を行くのは、小柄な影。一般常識からすると妙な出で立ちだった。まず、木刀や木剣をもっていない。そのために、運送屋ではないと予測される。しかしたった一人の二人の移民団や開拓団は普通ありえない。隣を行く男性に負けぬほどの量の荷物を斜めに背負っているが、足取りに不安はない。
「ミヤに言わなくてよかったのかなぁ・・・」
小柄なほう――〈一族のマナ〉と呼ばれるそれは、隣を歩く男性にぽつりと漏らした。
尋ねられた彼、ササキ・フリモアテ=ノアはもともとたいして表情のない顔をほとんど変えずに、それどころかマナに顔を向けることもなく単調にうなずく。
「言わなくていい。あれを必要以上に外に出すことなんてない」
「ササは甘いよねぇ」
「・・・ミヤと同じ事を言うんだな、おまえは」
「ササはミヤの言うことしか覚えてないの?――局のみんなも言ってるからね、ササは甘いって」
「・・・・・・そうか」
ササキの小さな動揺を読み取り、マナはくすくすと肩を揺らす。
「もうすぐ、セルシャだねぇ」
「そうだな」
「一日休む?」
「いや、・・・可能な限り、急ごう」
「うん、わかった。ササ、体は大丈夫?」
「便利な体に生んでもらったからな。お前ほどじゃないにしろ、普通の人間より丈夫だ」
「私は丈夫ってわけじゃないんだよ」
「そうか」
淡々と会話しながら、開拓団と共にいたときよりもずいぶん早いペースで進んでいく。これが彼らの普通だった。荷もずいぶんと少ない。
最小限の荷物で、できるだけ短時間で大地を渡る。
運送屋とは本来そういうものだ。
開拓団の護衛だと、どうしても素人にあわせてゆっくり進む。肺への負担は大きく、そのために護衛役をやりたがる運送屋が少ない。
「今日も、白いねぇ」
マナが歩み続けながら、白き大地を見渡してつぶやく。
「そうだな」
ササキが短く返す。
白と、短い会話。
世界はとてもシンプルだ。