No.002_10 [Songs for MANA]
白都の開拓団のメンバーは全員で六人だ。一般的には、十二人が標準であり最低ラインとも言われている。この開拓団は初歩の部分からしておかしいのだ。
リーダーは都市環境学と都市国家運営学を修了したアキハル・サトミ。パートナーはヴィルジニ・マーマー。
そのほかに、ユウセイ・トウミシマ、シェロー・マーマー、フィフィー・ビビ、アスカ・リマ。
全員、今は亡き花と水の都〈マーマー〉の出身。いわゆる旧マーマー市民だ。
「本当なら、十人いたの。リッセとクオンは最終編成で落とされて、サイとイーニィは直前に。リッセとクオンのことはまだ納得できたけど・・・・・・」
セルシャ市の病院で、ヴィルジニが話してくれたことだ。
彼ら開拓団は、セルシャ市でもともといた護衛役の運送屋に去られ、代わりを探していた。そこで、マナとともに来ていたミヤモトとササキが急遽護衛役となり、エナ=クロスアウダ市まで送ることとなった。そこから先は、クロスアウダ政府がどうにかしてくれる。――なんせ世界最大の都市群である。抱える運送屋の数も質も、世界最高水準である。
「イーニィは出発前に体調を崩したの。それでエウノミア政府に強制脱退させられたわ。出発を遅らせてくれれば解決するようなことなのに、出発日はずらせないといわれた。パートナーだったサイも、一緒に脱退させられたの。移民団に参加するつもりだとは言っていたけれど、・・・ここに二人が居ないのは不安ね」
マナは首を傾げたくなったが、不安がっているところをさらに煽ることになりそうなのでやめておいた。
――エウノミアとセルシャの間を移動しただけで入院しなければならないような病弱なヴィルジニは、こうしてメンバーに入っている。
それに対して、イーニィはただの風邪だったという。
開拓団とは、更地に都市を創る人々の集団である。そのために、少ない人数の中にさまざまな分野の専門家を入れなければならない。
アキハルは政治経済、ヴィルジニは環境、ユウセイは気象、シェローは工学、フィフィーは農業、アスカは地質学。
彼らは全員、専門分野を軸にして幅広く学ぶ。幅広い分、浅くなる。深い知識、都市の居住環境が整ってからやってくる移民団に頼るのだ。
「イーニィとサイってヒトは、なんの専門家〈エキスパート〉だったの?」
マナは尋ねた。
「――建築家と樹医よ」
「・・・・・・家、建てない気?」
マナは気遣いも忘れ、呆れて言った。
ヴィルジニは、苦笑する。――ものすごく、苦々しく。
「シェローがそのあたりの実技を履修しているから大丈夫よ。それに樹医はアキハルと私とフィフィーで代行できるわ」
この開拓団は不安だらけだ。
物理的な意味で都市を建設していくために、建築家(大工と言ったほうが通じやすいのだが)は重要だ。樹医は、都市を支える都市樹のために欠かせない。いくらそのほかのメンバーの副分野でカバーできるからといって、これらをはずした開拓団が認められていいものなのだろうか。
(エウノミア政府は、イーニィとサイを――建築家と樹医をメンバーからはずしたかったとでも言いたげだ・・・)
いずれは言おうと思うが、今は黙っていようとマナは心に決める。